近年、通信費の節約を目的として、多くのユーザーが大手キャリアから格安SIMへの乗り換えを検討しています。しかし、料金の安さだけでなく、音声通話の品質も重要な選択基準の一つです。
特にビジネスシーンや家族との連絡において、通話のクリアさや安定性は欠かせません。
本記事では、2025年3月時点の最新情報をもとに、音声通話品質に優れた格安SIMを比較し、高品質な通話が可能なおすすめSIM5選をご紹介します。
音声通話品質を左右する要因とは?
格安SIMを選ぶうえで、音声通話の品質は料金と並んで重要なポイントです。
「格安」という言葉に引っ張られて品質が低いと誤解されがちですが、実際はSIMごとの設計や利用環境により大きく異なります。ここでは、通話品質に影響する主な要因を解説します。
通話方式の違い(VoLTE、プレフィックス通話)
通話の音質に直結するのが「通話方式」です。
現在、格安SIMで使われている主な方式は以下の2つです。
通話方式 | 特徴 |
---|---|
VoLTE | LTE回線を使った通話方式で、音質がクリア。遅延も少なく、通話のつながりやすさも高い。 |
プレフィックス通話 | 専用番号を付けて通話する方式。従来の電話回線と同等の品質。アプリを介する場合が多い。 |
VoLTEは「Voice over LTE」の略で、高速データ通信回線(LTE)を利用して音声通話を行う方式です。従来の3G回線よりも大幅に音質が向上し、雑音や途切れが少ないのが特徴です。
一方、プレフィックス通話は専用番号を頭に付けて発信することで通話料を割安にする仕組みで、通話品質は標準的ですが、アプリが必要になるケースもあります。
キャリア回線の影響
格安SIMは、自社で通信網を持たず、大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)の回線を借りてサービスを提供しています。そのため、どのキャリア回線を利用しているかで、通話の安定性やつながりやすさに差が出ます。
たとえば、ドコモ回線は全国的にエリアが広く、山間部でもつながりやすい傾向があります。
一方、ソフトバンクやau回線は都市部での通信速度に強みがあると言われています。
自分の生活圏や通話を行う場所に合った回線を選ぶことが大切です。
対応端末の重要性
もうひとつ忘れてはならないのが、利用するスマートフォン端末の「対応状況」です。
たとえば、VoLTEを利用するには、そのSIMと端末がともにVoLTEに対応していなければなりません。格安SIMによっては、特定の機種でしか通話がうまくできない場合もあるため、事前に対応端末リストを確認しておくことが重要です。
また、SIMロック解除済みかどうかも確認ポイントです。
大手キャリアで購入した端末は、SIMロックがかかっている場合があり、そのままでは他社のSIMを使えないことがあります。
高音質な通話が可能な格安SIM5選
ここでは、高音質な通話が可能な格安SIMを5つ紹介します。各サービスの特徴や料金プラン、通話品質について詳しく見ていきましょう。
1. ahamo
特徴と料金プラン
ahamoは、NTTドコモが提供するオンライン専用の格安プランです。
月額2,970円(税込)で30GBのデータ通信が含まれ、5分以内の国内通話が何度でも無料です。
さらに、月額1,100円(税込)のオプションを追加することで、国内通話が無制限でかけ放題となります。
通話品質と通話方式
ahamoは、ドコモの高品質なVoLTE(HD+)に対応しており、クリアで安定した音声通話が可能です。実際のユーザーからも、通話中に途切れることがなく、高い通話品質が評価されています。
メリット
- 高品質な通話
ドコモの回線を利用しているため、通話品質が非常に高く、途切れることが少ないと評価されています。 - シンプルな料金プラン
月額2,970円(税込)で30GBのデータ通信と5分以内の国内通話無料が含まれており、料金プランが分かりやすいと好評です。
デメリット
- オンライン専用のサポート
ahamoはオンライン専用プランのため、対面でのサポートが受けられない点がデメリットとして挙げられます。 - 混雑時の通信速度
一部のユーザーからは、混雑時や特定の場所で通信速度が遅くなるとの声もあります。
2. LINEMO
特徴と料金プラン
LINEMOは、ソフトバンクが提供するオンライン専用の格安プランです。主な料金プランは以下のとおりです。
プラン名 | 月額料金(税込) | データ容量 | 特徴 |
---|---|---|---|
ミニプラン | 990円 | 3GB | 少量データ利用者向け |
スマホプラン | 2,728円 | 20GB | 標準的なデータ利用者向け |
どちらのプランも、LINEアプリのトークや音声通話、ビデオ通話のデータ消費がゼロとなる「LINEギガフリー」が適用されます。
通話品質と通話方式
LINEMOは、ソフトバンクの高品質なVoLTEに対応しており、クリアで安定した音声通話が可能です。専用アプリを使用せず、標準の電話アプリで高品質な通話を利用できます。
メリット
- 高品質な通話
ソフトバンクの回線を利用しているため、通話品質が高く、安定した通信が可能です。 - LINEギガフリー
LINEアプリのトークや音声通話、ビデオ通話がデータ消費ゼロで利用でき、LINEを多用するユーザーにとって大きなメリットです。 - シンプルな料金プラン
3GBと20GBの2種類のプランから選択でき、料金体系が明確で分かりやすいのが特徴です。
デメリット
- オンライン専用のサポート
LINEMOはオンライン専用プランのため、店舗での対面サポートが受けられません。 - 端末販売なし
新しい端末の購入ができないため、利用者自身で対応端末を用意する必要があります。 - 家族割やセット割の非対応
家族割引や光回線とのセット割引が適用されないため、これらの割引を重視するユーザーには不向きです。
3. HISモバイル
特徴と料金プラン
HISモバイルは、旅行会社HISが提供する格安SIMサービスで、月額290円(税込)からという圧倒的な低価格で注目を集めています。ユーザーの利用状況に合わせて柔軟にプランを選べるのが魅力です。
2025年3月時点での代表的な料金プランは以下のとおりです。
プラン名 | 月額料金(税込) | データ容量 | 通話オプション |
---|---|---|---|
自由自在290プラン | 290円〜 | 100MB〜 | 30秒11円(専用アプリ不要) |
ビタッ!プラン | 990円〜 | 1GB〜 | かけ放題オプションあり(+990円) |
どちらのプランもドコモ回線を利用しており、全国広いエリアで利用可能です。
特に「自由自在290プラン」は、音声SIMとしては最安クラスの価格帯で利用できる点が大きな特徴です。
通話品質と通話方式
また、通話時の遅延も少なく、プレフィックス通話にありがちな「ワンテンポ遅れる感じ」がありません。普段使いはもちろん、ビジネス用途でも十分に通用する品質です。
メリット
- 業界最安クラスの料金設定
月額290円から利用可能で、必要な分だけ使いたい人にぴったりの設計です。 - VoLTE対応で高音質
ドコモ回線を利用し、音質も安定しているため通話重視ユーザーにも向いています。 - 専用アプリ不要
標準の電話アプリから発信できるので、使い勝手が良く初心者にも安心です。
デメリット
- データ通信が少なめ
小容量プランが中心のため、データ通信を多く使いたい人には向いていません。 - サポートがオンライン中心
店舗がないため、対面サポートを重視する人には不向きです。
コスト重視ながらも音声通話品質を妥協したくない方には、非常にバランスの取れた選択肢と言えるでしょう。
4. 日本通信SIM
特徴と料金プラン
日本通信SIMは、ドコモ回線を利用した高品質な通信サービスを提供する格安SIMです。
特に、コストパフォーマンスに優れた料金プランが魅力となっています。2025年3月時点での主な料金プランは以下のとおりです。
プラン名 | 月額料金(税込) | データ容量 | 通話オプション |
---|---|---|---|
合理的シンプル290プラン | 290円 | 1GB | なし |
合理的みんなのプラン | 1,390円 | 20GB | 月70分の無料通話 または 5分かけ放題を選択可能 |
合理的50GBプラン | 2,178円 | 50GB | 月70分の無料通話 または 5分かけ放題を選択可能 |
合理的かけほプラン | 2,728円 | 3GB | 無制限かけ放題 |
通話品質と通話方式
日本通信SIMは、ドコモのVoLTEに対応しており、クリアで高品質な音声通話が可能です。
メリット
- 高品質な通話
ドコモ回線を利用しており、VoLTE対応によりクリアな音声通話が可能です。 - コストパフォーマンスの高さ
月額290円から利用できるプラン設定で、無料通話オプションも充実しています。 - 契約の柔軟性
最低利用期間や解約金が設定されておらず、いつでも解約が可能です。
デメリット
- 端末販売なし
SIMカードのみの提供で、端末のセット販売は行っていません。 - オンラインサポート中心
サポートはオンラインが主体で、対面サポートを希望するユーザーには不向きです。
5. mineo
特徴と料金プラン
mineo(マイネオ)は、関西電力グループのオプテージが提供する老舗の格安SIMサービスです。ドコモ・au・ソフトバンクの3回線すべてに対応しており、柔軟なプラン設計や豊富なオプションが支持されています。
2025年3月時点の代表的な料金プランは以下の通りです。
プラン名 | 月額料金(税込) | データ容量 | 回線選択可 | 通話オプション |
---|---|---|---|---|
マイピタ | 1,298円〜 | 1GB〜20GB | ドコモ/au/ソフトバンク | 10分かけ放題(月550円)など |
マイそく | 990円〜 | 無制限(速度制限あり) | ドコモ/au/ソフトバンク | 通話オプション追加可能 |
マイそくプレミアム | 2,970円 | 平日高速通信可 | ドコモ/au/ソフトバンク | 同上 |
通話品質と通話方式
mineoの通話方式は、基本的に「プレフィックス通話(mineoでんわ)」です。専用アプリを使うことで、30秒あたり11円という割安な料金で通話できます。
ただし、VoLTEによる高音質通話には非対応となるため、ahamoやLINEMOと比べると通話品質はやや劣ります。
また、プレフィックス通話は通信網の混雑状況や回線経路によって音声が途切れることもありますが、日常使用で大きな問題になることは少ないという声もあります。
メリット
- 選べる回線と柔軟なプラン設計
3キャリア対応で、自分のスマホや居住地に合った回線を選べます。 - ユーザー同士の支え合いが魅力
mineoユーザーコミュニティ「マイネ王」で、困ったことを相談できる環境が整っています。 - パケットシェアなど独自機能が豊富
パケットギフトやフリータンクなど、無駄なくデータ容量を活用できます。
デメリット
- VoLTE非対応: 高音質通話を求めるユーザーには不向きです。プレフィックス通話は標準的な音質となります。
- 混雑時間帯の通信速度が遅い: 特に昼休みや夕方の混雑時には、通信速度が著しく低下する傾向があります。
mineoは、料金の柔軟性やユーザー同士の支援体制に魅力がありますが、通話品質に関してはVoLTE非対応という点でやや劣る印象です。ただし、普段の通話がそこまで多くない方や、音質にこだわりがない方であれば、十分に選択肢に入ります。
通話品質を重視した格安SIM選びのポイント
格安SIMの中には、「とにかく料金が安い」ことに特化したものもあれば、「通話品質」にしっかり配慮した設計になっているものもあります。ここでは、通話品質を重視する方がSIMを選ぶ際にチェックすべきポイントを整理して解説します。
通話品質チェックのポイント一覧
以下の表は、格安SIM選びで特に注目すべき5つの要素をまとめたものです。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
通話方式(VoLTEか否か) | VoLTE対応なら高音質。非対応のプレフィックス通話はやや劣る傾向あり。 |
利用キャリア回線 | ドコモ・au・ソフトバンクのどれを使っているか。エリアや混雑状況に影響。 |
通話オプションの有無 | 無制限かけ放題や5分以内通話無料など。利用頻度に合った選択が重要。 |
利用端末との相性 | VoLTE対応、SIMロック解除済などを確認。非対応端末では通話に支障が出る可能性も。 |
サポート体制 | オンラインのみか、店舗対応があるか。初心者や高齢者にはサポートの充実が重要。 |
自分の通話スタイルに合わせた選び方
通話品質重視といっても、用途によって適したSIMは変わってきます。
以下のような視点から自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。
- ビジネス利用ならVoLTE対応のSIMを優先する
会議や取引先との通話で音が途切れることは許されません。ahamoや日本通信SIMのようなVoLTE対応SIMが最適です。 - 家族や友人とのやりとり中心なら、LINE通話が使いやすいSIMを
LINEMOはLINEの通話・トークがギガフリーなので、通話料の節約にもなりおすすめです。 - とにかく料金重視ならプレフィックス通話のあるSIMを選ぶ
HISモバイルやmineoのような低価格でプレフィックス通話が可能なSIMは、節約志向の強いユーザーに適しています。 - 高齢者やスマホ初心者はサポート体制もチェック
例えばmineoはユーザー同士で相談できる「マイネ王」など、オンラインサポートが充実しており安心です。
このように、単に「通話品質が良いかどうか」ではなく、自分の通話スタイルや生活環境に合わせた選び方が大切です。
まとめ
格安SIMにおける音声通話の品質は、サービスごとに大きな差があります。中には、大手キャリアと遜色ないクリアな通話ができるものもあれば、アプリを介す必要があり、やや音質が落ちるものも存在します。
本記事では、2025年3月時点での最新情報に基づき、音声通話品質に優れた格安SIM5選を紹介しました。
VoLTEに対応しているか、どのキャリア回線を利用しているか、どんな通話オプションがあるかなど、選定のポイントは多岐にわたります。
以下は、今回紹介した5社の通話品質と特徴の比較表です。
サービス名 | 通話方式 | 回線 | かけ放題 | 通話品質評価 | コメント |
---|---|---|---|---|---|
ahamo | VoLTE(HD+) | ドコモ | ○(5分/無制限) | 非常に高い | ドコモ品質+シンプルプラン |
LINEMO | VoLTE | ソフトバンク | ○(5分/無制限) | 高い | LINEヘビーユーザーに最適 |
HISモバイル | VoLTE | ドコモ | ○(無制限) | 高い | アプリ不要で高品質&低価格 |
日本通信SIM | VoLTE | ドコモ | ○(5分/無制限) | 高い | コスパ抜群の高品質通話 |
mineo | プレフィックス | 3キャリア対応 | ○(10分) | 普通〜やや低め | 柔軟なプランとユーザー支援が魅力 |
結論として、通話品質を最重視する方にはVoLTE対応でドコモ回線を利用しているSIM(例:ahamo、HISモバイル、日本通信SIM)が安心です。
一方で、料金や柔軟性を重視する場合は、mineoのようなプレフィックス通話型も十分な選択肢になります。
格安SIM選びは、自分の使い方と重視するポイントを明確にすることが成功のカギです。音声通話品質を重視する方は、ぜひ本記事を参考に、失敗のないSIM選びをしてください。